松浦源徳さん(まる功うなぎ株式会社)
——どんな仕事を担当していますか。
タンク式水槽の管理を受け持っています。通年でうなぎを育てる「周年養殖」を主にしているので、土用シーズン以外の出荷はこのタンク式水槽から行うことが多いです。
——土用以外の需要にも応えられる体制になっているんですね。
養殖中は、大きさごとに選り分ける「分養」を何度か繰り返しますが、鰻の個体によって成長に差が出てきます。小さくて越冬する魚は、タンク式水槽に移して育てることが多いです。
ちなみに、1年以内に成長させて土用シーズンに出される鰻を「新仔(しんこ)」、1年以上養殖している鰻を「ヒネ仔(こ)」といいます。柔らかい肉質の新仔に比べて、ヒネ仔は肉質がしっかりで味が濃いです。
——中村養鰻場に就職したきっかけは?
元調理師で、新富町の隣にある西都市の和菓子屋で11年働いていました。そこを辞めて、おもしろそうだなと就職したのがこの養鰻場です。
自分はうなぎがいっぱいエサを食う姿が好きですね。頼むから食べてくれ〜と思いながら、いつも様子を見守っています。鰻にとっての水質は、人間にとっての空気と同じですから、特に水は大事に扱って、鰻の食欲が衰えないように気をつけています。まあ実際に心地よいかどうかは、鰻に聞いてみないとわからないですけどね(笑)。
水質から体調管理、成長の度合いまで全部をコントロールするのは難しいですけど、そこがおもしろい。そして難しいからこそ、現状や起こったことを受け止めて、次の工夫につなげられることが大事だと思います。
——松浦さんから見た中村養鰻場らしさとは。
商品の生産から消費までの過程を追跡できる「トレーサビリティ」に力を入れていること。一般的にトレーサビリティは二次産業の企業が活用するシステムが多いので、一次産業である養鰻場がやるのは珍しいですよね。
負担はあるけど、このように新しいことをしよう、前に進もうとしているのは、社員にとって励みになります。